腎機能、本当の状態は“eGFR値”でチェックが必要

「健康診断で正常値範囲内だったから問題ない」――。
 こと腎臓については、そんな考え方は改めた方がいい。
 腎機能の状態を示す「クレアチニン値」は健康診断の血液検査項目のひとつだが、実はこれが正常値(男性0.65〜1.09mg/dl、女性0.46〜0.82mg/dl)の範囲内でも、年齢によっては腎機能が大きく低下しているケースがあるというのだ。
 どうすれば自分の腎機能の“本当の状態”を知ることができるのか?
 日本腎臓学会の指導医で「松尾内科クリニック」(東京・世田谷区)院長の松尾孝俊氏に聞いた。
 Aさんは見るからに健康な48歳。週末は草野球を楽しんでいる。今年に入って体がだるく感じるようになったが、4月の健康診断では異常なし。腎機能を示すクレアチニン値も1.08で、ぎりぎり正常値だった。
 ところが最近、幼馴染みの医師に「腎臓病の疑いあり」と診断された。
「腎臓の病気は自覚症状がありません。Aさんのように、気付いたときにはかなり進行しているケースが多い。それを避けるには健康診断の血液検査でクレアチニン値を知るだけでは不十分。タンパク尿が陽性の人は、とくに自分のクレアチニン値と年齢から計算できる腎臓機能の評価推算式からeGFR値を求め、腎機能がどのくらい低下しているかを知るべきです」

●サイトにアクセスすれば簡単に計算できる
 eGFR値の推算式は素人には計算は無理。そこで日本慢性腎臓病対策協議会(http://j-ckdi.jp/index.html)や腎臓ネット(http://www.jinzou.net/)のサイトにアクセスすれば、簡単に計算できるようになっている。
 これまでeGFR値は、米国人向けに作成された推算式であった。そこで、日本腎臓学会がこの推算式における日本人の係数を計算し、今年5月に新たに公開した。それが前記の推算式だ。
「この推算式によると、クレアチニン値1.08のAさんのeGFR値は59。腎機能が正常な人は100なので、60%程度しか動いていないということです」
 糖尿病の人は、「数値以上に病状が進んでいます。1ランク下で見るべきです」という。
 なお、eGFR値が50以下またはタンパク尿陽性なら、すぐに日本腎臓学会が認定する専門医に診てもらった方がいいという。
「腎機能低下の背景に糖尿病、高血圧、慢性腎不全などが関係しているケースが多い。一般の内科医ではできない腎生検などで、何が原因で腎機能が低下しているかを調べ、適切な治療法を選択してくれます」
 日本人の慢性腎臓病患者は成人の5人に1人。自分を患者だと自覚していない人も多い。専門医でない医者のなかにはeGFR値を知らない人もいる。将来、腎臓病で苦しみたくなければ、あなたも自分自身のeGFR値を調べてみることだ。

《あなたはどこ?》
Stage/eGFR値/進行度
(1)90以上/腎障害は見られるが機能は正常
(2)89〜60/軽度の腎機能低下
(3)59〜30/中等度の腎機能低下
(4)29〜15/高度の腎機能低下
(5)14以下/腎不全


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